箱根駅伝「幻の区間賞」ランナー 新天地で誓う「恥じない存在感」

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インタビューに応じるSUBARUの照井明人=群馬県太田市で2021年12月22日午後2時42分、黒川優撮影
インタビューに応じるSUBARUの照井明人=群馬県太田市で2021年12月22日午後2時42分、黒川優撮影

 箱根駅伝の「幻の区間賞」で脚光を浴びたランナーの決断。社会人5年目の照井明人(27)が今季、実業団陸上のNDソフトからSUBARU(スバル)に移籍した。背景には何があったのか。2022年元日に群馬県で開催される第66回全日本実業団対抗駅伝競走大会(ニューイヤー駅伝)で5区を走る照井。「幻の区間賞」を背負い続ける胸の内に迫った。

箱根の後に「自己ベストを更新」

 自動車メーカー・スバルの工場がある群馬県太田市。地元開催のニューイヤー駅伝に対する市民の関心も高い。照井は「群馬の皆さんは毎年ニューイヤー駅伝を見て、お正月のパーティーをするのが習わしになっているらしい。期待に応えたい」と話す。

 17年1月、東京国際大4年の照井は、関東学生連合の一員として箱根駅伝に出場した。11年創部の東京国際大で16年に初めて箱根駅伝出場を果たしたが、17年は予選敗退。「駅伝は4年間一緒に汗水垂らしてきた仲間とたすきをつなぐもの。自分1人選ばれて、主将としてチームを導けなかった悔しさや申し訳なさの方が大きかったですね」。照井はそんな思いを抱え、東京・大手町のゴールに向かう最終10区を走った。

 青学大が3連覇し、歓喜の輪ができる中、照井は1時間10分58秒の区間トップのタイムでフィニッシュした。だが、予選敗退校からの選抜選手で構成する関東学生連合はオープン参加のため「参考記録」扱いに。実質区間2位の選手に区間賞が贈られたこともあり、「幻の区間賞」と話題になった。照井は言う。

 「区間賞にならなかったのはルールだから悔しくはなかった。でも注目されるようになって、ほかの大会や練習で下手な走りはできないから、より集中するようになりました。箱根駅伝の後にどんどん自己ベストを更新できたんです」

 岩手県北上市出身の照井は大学卒業後、マラソンでのオリンピック出場を目標にした。「東北から世界へ」のス…

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