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タリバンの支配下で

アフガニスタンでイスラム主義勢力タリバンが20年ぶりに復権してから4カ月。経済や社会の混乱が続くアフガンの現状を報告する。

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タリバンの支配下で

職員の国外退避から4カ月 「警備」下にあったカブールの日本大使館

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一時的に閉鎖された在アフガニスタン日本大使館=カブールで2021年12月初旬、松井聡撮影
一時的に閉鎖された在アフガニスタン日本大使館=カブールで2021年12月初旬、松井聡撮影

 アフガニスタンのイスラム主義組織タリバンが昨年8月15日に首都カブールを制圧して実権を掌握したが、日本を含む多くの国は、その前後に大使館を閉鎖し、職員を国外に退避させた。それから4カ月以上が過ぎ、各国政府はまだタリバン暫定政権を承認していないものの、大使館の再開を視野に情勢を注視している。日本大使館などがあるカブール中心部の大使館エリアを昨年12月、取材した。

日本大使館があるカブールのワジル・アクバル・カーン地区
日本大使館があるカブールのワジル・アクバル・カーン地区

 各国大使館が集まるワジル・アクバル・カーン地区。2017年5月、自爆テロで150人以上が犠牲になるなど、たびたび被害を受けてきた。

各国の大使館が集まる地区に入るゲート。タリバンの旗が掲げられていた=カブールで2021年12月初旬、松井聡撮影
各国の大使館が集まる地区に入るゲート。タリバンの旗が掲げられていた=カブールで2021年12月初旬、松井聡撮影

 地区を車で訪ねると、検問所のゲート前に装甲車が置かれ、タリバン兵6人が警備に当たっていた。記者が、タリバン暫定政権の外務省が発行した「取材許可証」を見せると、兵士の一人が笑みを浮かべた。「我々がいかに力を入れて警備しているのか見てほしい」

 記者とガイド役の地元ジャーナリストが乗る車に、武装したタリバン兵1人が乗り込んできた。地区を案内するという。それぞれの大使館はコンクリート製の高い防御壁で囲まれ、まるで要塞(ようさい)のようだ。通行人はほとんどおらず、一帯は静けさに包まれていた。

 タリバン兵は建物を指さしながら「これがカナダ大使館で、向こう側がドイツ大使館だ」などと、慣れた様子で紹介した。

一時的に閉鎖された在アフガニスタン日本大使館=カブールで2021年12月初旬、松井聡撮影
一時的に閉鎖された在アフガニスタン日本大使館=カブールで2021年12月初旬、松井聡撮影

 間もなく兵士が「右手が日本大使館だ」と言い、全員が車から降りた。建物前では兵士2人が談笑していた。警備にあたるタリバン兵(38)は「我々の部隊が24時間、10人態勢で警戒しているから安心してほしい。日本は発展した素晴らしい国だ。早くカブールへ戻って来て、アフガンの発展のために力を貸してほしい」と語った。

 日本政府はカブールが陥落した8月15日に大使館を一時閉鎖し、職員は同17日に国外に逃れた。大使館の門の脇にある受付とみられる窓口の中に、新聞や水の入ったペットボトルが放置されていた。慌ただしく業務を打ち切った様子がうかがえた。

在アフガニスタン日本大使館を警備するタリバン兵ら=カブールで2021年12月初旬、松井聡撮影
在アフガニスタン日本大使館を警備するタリバン兵ら=カブールで2021年12月初旬、松井聡撮影

 日本政府は現在、中東カタールの首都ドーハに臨時事務所を設けて業務を継続する。昨年11月には岡田隆・駐アフガン大使がカブールでタリバン暫定政権の高官と会談し、タリバン側と実務的なやりとりを続ける考えを明らかにした。

 アフガンでは、タリバンと良好な関係を持つ中国やロシアなどが大使館で業務を続けている。大使館を一時閉鎖していたサウジアラビアやアラブ首長国連邦も最近、再開を決めた。また、欧州の複数の国が合同で大使館の再開を検討しているとの報道もある。【カブールで松井聡】

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