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中澤照子(なかざわ・てるこ)さん(80)
保護司として20年、地元の東京・辰巳を駆けずり回った。無報酬の国家公務員という役回りを「天職」と自任する。
最初に担当したのは少年院帰りの元暴走族の男性。父子家庭に育った。「うちのカレー、食べるかい」。母親代わりにはなれないと思いつつ、夕食を振る舞った。隠し味はマヨネーズ。「とんでもなくうまかった」。少年のささやかな自慢が瞬く間に広がり、自宅はカレー目当ての暴走族のたまり場になった。
3年目の冬。東京に雪が積もった。「雪かきやろう」。そう号令をかけると、十数人が駆けつけ、汗だくになって歩道の雪をどけてくれた。住民から「ありがとね」と声を掛けられ、少年たちが誇らしげな表情に変わっていったのを鮮明に覚えている。「人には親切に、見返りは求めない。ありがとうと言われる大人になろう」。手弁当で「更生カレー」を振る舞い、励まし続けた。
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