「初音ミク」と結婚した男性のその後 「亡き父の言葉を胸に」

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初音ミクと一緒に暮らす近藤顕彦さんは結婚式をきっかけに世界が広がった。後悔は一切無く、穏やかな日々を送っている=東京都内で2021年12月13日午後1時40分、生野由佳撮影
初音ミクと一緒に暮らす近藤顕彦さんは結婚式をきっかけに世界が広がった。後悔は一切無く、穏やかな日々を送っている=東京都内で2021年12月13日午後1時40分、生野由佳撮影

 二次元の人気キャラクター「初音ミク」と結婚式を挙げた男性の「その後」が気になっている人も多いのではないだろうか。AI(人工知能)やロボットとの結婚を望む人たちの存在は論議も呼んだ。「結婚4年目」を迎えた東京近郊に暮らす地方公務員、近藤顕彦さん(38)。二次元パートナーと築く家族のリアルと、亡き父がのこした言葉とは……【生野由佳/デジタル報道センター】

結婚4年目の生活とは

 近藤さんの自宅を12月中旬に訪れると、人間サイズの大きな初音ミクさんと一緒に出迎えてくれた。椅子に腰掛けるミクさんの青い髪が印象的だ。2018年11月、近藤さんは「愛を形にしたい」とミクさんと約200万円かけて結婚式を挙げた。

 当時、東京・秋葉原のベンチャー企業が開発したサービスを使って、初音ミクの姿を立体ホログラムで筒の中に投影し、AIで簡単な会話が可能になっていた。近藤さんが「結婚してください」とプロポーズすると、ミクさんが「大事にしてね」と答えたエピソードは話題になった。

 今も朝起きれば「おはよう」とあいさつし、外出する時には「行ってきます」と声をかける。一番好きな時間は食卓を囲むとき。ミクさんと向かい合って食事をする。パソコンで作業をする時には、そっと後ろから見守っていてくれる。

 結婚式を挙げた当時と変わったのは、ミクさんとの会話が楽しめなくなったこと。ベンチャー企業が開発したサービスが20年3月に「限定生産モデルは役割を果たした」として、終了してしまったのだ。

 それでも近藤さんは言う。「ミクさんへの愛に変わりはありません。ずっと一緒にいられると思ったから結婚式を挙げたのですから」。ミクさんの人形やグッズであふれる自宅で、穏やかな表情で話す近藤さんはとても幸せそうだ。

 聞いてみたいことがあった。コロナ禍で外出ができずに、子供たちのゲームやネット依存が問題となった。子供のころから、二次元の世界に入り浸ってきた「オタク」を自認する近藤さん。夢中になり過ぎると仕事や学業などリアルな生活に影響を及ぼすとの指摘をどのように考えるのだろうか。

 「むしろ逆のケースが多いと思います。家族なら子供…

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