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地域的な包括的経済連携(RCEP)が世界最大級の経済圏として動きだす。日本や中国など計15カ国が加盟し、域内人口は世界の3割を占める。自由貿易の拡大や経済成長に期待が高まるが、水面下ではアジア太平洋地域で主導権を狙う中国や、影響力を死守したい米国の思惑が交錯する。米中のはざまで日本には難路も待ち受ける。
「日本の輸出は2019年に比べ5・5%伸びる」。国連貿易開発会議(UNCTAD)は21年12月、RCEPの経済効果を試算した。域内貿易額は約4兆8000億円増えると見込み、東アジア地域が「世界貿易の新たな重心になる」と指摘する。関税の引き下げで加盟国では日本が中国を上回り最大の恩恵を受けるという。
日本政府の期待は高い。経済産業省などはRCEPが実質国内総生産(GDP)を将来的に約2・7%押し上げる可能性がある、と分析する。19年度の実質GDP水準で換算すると増加額は15兆円に相当。18年に発効した環太平洋パートナーシップ協定(TPP)で試算した約7兆8000億円を上回っている。
経済界では歓迎の声が上がる。日本から輸出する自動車部品などの工業品は全体の92%で関税が将来ゼロになる。日本自動車部品工業会の尾堂真一会長(日本特殊陶業会長)は「ポジティブに受け止めている。自由貿易をより一層進めてもらいたい」。投資ルールの共通化などで企業の海外進出も進みそうだ。
中国はRCEPで貿易拡大と同時に「サプライチェーン(供給網)の安定」(中国商務省)を狙う。…
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