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オシント新時代~荒れる情報の海

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「ロマンス詐欺」防げ 偽アカ画像、市民がスマホで特定

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 クリスマスイルミネーションが街を彩る2021年12月上旬。神奈川県茅ケ崎市のJR茅ケ崎駅前のカフェで記者と待ち合わせた真崎久美子さん(仮名)はスマートフォンの画面を開き、若い男女の写真を順に見せた。「本人が見つかるまでは消さずに残しています」。写真は真崎さんが「特定」を試みる男女だ。

 「特定班」。ネット交流サービス(SNS)に投稿された画像などを基に、人物を特定する人たちを指す。真崎さんは失恋を機に「特定班」になり、スポーツジムでインストラクターとして勤務する傍ら、空き時間を疑惑の顔写真や特徴的な背景の画像検索に費やしてきた。公開情報を基に事実に迫る、いわば市民版「オシント(OSINT)」(open-source intelligenceの略)だ。

 真崎さんの目的は、ネットを通じた交流から発展する結婚詐欺「ロマンス詐欺」の被害防止。詐欺師は、あまり知られていないモデルや俳優らの顔写真を無断転載するなどして作成した偽アカウント(偽アカ)を使い、SNSやアプリを通じて接近。「今後の2人の生活費のために投資しよう」など言葉巧みに現金を要求する。

 偽アカに悪用された顔写真は誰の写真なのか、偽アカを作成したのは誰なのか。真崎さんは、その特定に挑む。詐欺師の身元まで特定できなくても、写真が別人のものだと分かれば、「詐欺師による洗脳やマインドコントロールを解いてあげることができる」。特定作業は無償という。

 「このアカウントは本物ですか?」。真崎さんのSNSには毎日のように相談が届く。この1年間で約300件を引き受け、約8割の顔写真の真偽を見分けた。

 ツールはスマホ1台。基本…

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