「テロリスト」が「統治者」に アフガン取材、拭えぬ違和感
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アフガニスタンでイスラム主義組織タリバンが20年ぶりに復権してから約4カ月後の2021年11月末~12月初旬、私は首都カブールに入り、政変に翻弄(ほんろう)される人々や報道機関、女性を取り巻く状況などをルポし、「タリバンの支配下で」として記事にまとめた。今回は、そこに盛り込めなかった取材時のやり取りなどを「特別編」として2回に分けて報告する。まずはカブールの治安状況や、崩壊したガニ政権時代から働く政府機関の職員のことを紹介したい。
常に用心が必要な現場取材
アフガンを訪ねるのは、タリバンが各地で攻勢を強めていた8月初旬以来だった。カブールの国際空港の滑走路に降り立つと、冷たい風が吹き付け、厳しい冬の到来を感じさせた。
私が暮らすインドの首都ニューデリーも大気汚染がひどいが、カブールの街では排気ガスのような独特の臭いが鼻をつく。
現地では「きちんと精製されていない安価な燃料を使う車が多いのが原因だ」と言われている。カブールでの取材は18年以降で4回目。この臭いを嗅ぐと、いつも一気に目が覚めるような緊張感を覚える。アフガンでの取材はテロや誘拐に巻き込まれるリスクと隣り合わせだからだ。
「周囲に気を配り、決して気を抜かない」。今回もそう自分に言い聞かせ、覚悟を決めた時だ。携帯電話の電源を入れると、「カブールで爆発が発生」というニュースが飛び込んできた。
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