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中村文則の書斎のつぶやき

芥川賞作家・中村文則さんが、いろいろな場所の「書斎」から、さまざまなことをつぶやきます。

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中村文則の書斎のつぶやき

ジェンダー意識の根本心理

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中村文則さん=本人提供
中村文則さん=本人提供

 ジェンダーの公平性や、さまざまな差別解消への意識は、年々高まっているように見え、実は表面だけで、実体は進んでいないと思う。黒人のオバマ大統領誕生の後、揺り戻しのようにトランプ大統領になり、差別が表面化し、黒人の命も大切、という当たり前のメッセージを掲げなければならなかったように、差別は駄目、男女平等、と言うだけでは、建前だけで、内実は変わらないのかもしれない。

 作家のサルトルは文学について「世界、ことに人間を、世界に向かって暴露することである」という風に述べたが、それで言えば、なぜ差別するのか、なぜジェンダー意識に過度にとらわれるのか、の根本心理を見ることで、改善に繋(つな)がるかもしれない。もちろん、男性が内包する女性差別の奥に、実はマザーコンプレックスがあるといった心理分析も有効ではある。息子を独占するため他の女性を嫌うような母の排他性を、息子が内…

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