オシント新時代・荒れる情報の海

/6止(その1) 外国政府の意図探る 人・モノ・カネ「定点観測」 国、AI活用本格化

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執務室内で公開情報の収集をする公安調査官=公安調査庁提供
執務室内で公開情報の収集をする公安調査官=公安調査庁提供

 東京・霞が関。赤レンガ造りの法務省旧本館を窓外に望む公安調査庁の一室。調査官は「定点観測」していた中国の国立大学のホームページに生じた小さな変化に気づいた。ロボット工学の研究所に所属する研究者として紹介されていた複数の日本人の名前が消えていた。2020年11月半ばのことだ。

 この大学は、人民解放軍に近い「国防7校」と呼ばれる大学の一つ。軍民両用ロボットやミサイルなどの研究開発にかかわっていた。研究所のページには、それまで20人近い研究者の氏名や略歴が載っていた。うち半数以上が日本人で、日本の国立大学の現役教授や名誉教授も含まれていた。数日後、サイトから日本人以外の研究者の名前も全て削除された。

 調査官は海外情報の分析を担う調査第2部の所属。外国の優れた科学者を呼び込む中国の国策「千人計画」を追跡していた。

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