障害者自ら支援担い手 「社会の底力に」全国117カ所に拡大

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外出から帰宅後、スマートフォンを手にする男性(手前中央)を見守るヒューマンケア協会の柴倉雄介さん(左)やこの日当番の介助職員=八王子市内で2021年12月5日、野倉恵撮影
外出から帰宅後、スマートフォンを手にする男性(手前中央)を見守るヒューマンケア協会の柴倉雄介さん(左)やこの日当番の介助職員=八王子市内で2021年12月5日、野倉恵撮影

 福祉の受け手から担い手へ。ハンディをもつ人への介助サービスや相談支援を手がける障害者中心の事業体「自立生活センター」。全国117カ所に広がった拠点の第1号は1986年、中西正司代表(77)らが東京都八王子市内で創設した「ヒューマンケア協会」だ。

 「プラネタリウム!」「行った!」。昨年12月の日曜夕方、市内のアパートで介助者と帰宅した男性(32)の声が弾んだ。男性は行動障害を伴う重い知的障害がある。状況の理解や意思伝達が難しいためパニックになると自身や他人を傷つける恐れがあるとされる。同協会など市周辺の5事業所の職員10人以上が宿泊や外出同行を含め月700時間を超す介護を行い、男性の1人暮らしを支える。

 男性は2017年に宇都宮市内の障害者施設で起きた入所者虐待事件で腰付近を蹴られ骨を折るなどの重傷を負った。元職員ら2人が傷害罪などで執行猶予付き有罪判決を受けた。母親(66)から相談を受けた中西さんらが退院後の支援に奔走。障害の特性から在宅では困難とみられがちだったが、身体障害から知的、精神障害にも広がった重度者向け訪問介護制度を活用し、当時異例の1日24時間介護を始めた。

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