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コロナの感染「第6波」 医療崩壊防ぐ体制万全か

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 新型コロナウイルスの感染が各地で急拡大している。感染力が強いオミクロン株の影響もある。事実上の「第6波」と言える。政府は対策に万全を期すべきだ。

 岸田文雄首相は、沖縄、山口、広島の3県にまん延防止等重点措置を適用する方針を表明した。新規感染者の増加が著しいためだ。

 まず優先すべきなのは医療体制の逼迫(ひっぱく)を回避することだ。

 オミクロン株は、重症化しにくい可能性が指摘されているが、感染者数が急増すれば重症者数も増え、医療現場の負担が重くなる。重症化リスクが高い高齢者へのワクチンの3回目接種は始まったばかりだ。

 限られた病床を有効に利用するため、政府は「オミクロン株の陽性者は全員入院」との方針を見直した。飲み薬の配布や訪問診療の体制が整っている自治体では自宅療養も認める。

 安心して自宅療養できるよう、容体の悪化に備え、自治体と医療機関が連携して速やかに入院できる手はずを整える必要がある。

 流行が先行した海外では、医師や看護師が感染して人手不足となり、診療に支障が出ている例もある。感染状況が深刻な地域に医療従事者を応援派遣する仕組みを活用すべきだ。

 沖縄などでは、在日米軍基地でのクラスター(感染者集団)発生をきっかけに、市中感染が広がったとみられている。

 政府は外国人を原則入国禁止としているが、米軍基地関係者は対象ではないため水際対策の穴となっている。

 在日米軍は感染対策を強化すると発表したが、外出制限には応じていない。政府には対応の改善を要請し続ける責任がある。

 まん延防止措置の適用は、昨年9月以来となる。営業時間の短縮や酒類提供の自粛が要請されれば、飲食店などの経営は再び厳しくなる。

 措置が効果を上げるためには、事業者や国民の理解と協力が欠かせない。政府には必要性を丁寧に説明することが求められる。

 東京都や大阪府でも新規感染者数が急増している。政府はオミクロン株の性質や海外の対策の効果を見極め、第6波対策を機動的に講じなければならない。

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