笑顔守る「こどもホスピス」 亡き娘と「一緒に」夢かなえ開設

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「ちょっと早いけど、メリークリスマス!」。完成したばかりの「横浜こどもホスピス」でのクリスマス会に、小児がんを経験した子どもらがプレゼントを持って訪れた。トナカイ姿の田川尚登さん(中央奥)らが歓迎した=横浜市金沢区で2021年12月19日、梅村直承撮影
「ちょっと早いけど、メリークリスマス!」。完成したばかりの「横浜こどもホスピス」でのクリスマス会に、小児がんを経験した子どもらがプレゼントを持って訪れた。トナカイ姿の田川尚登さん(中央奥)らが歓迎した=横浜市金沢区で2021年12月19日、梅村直承撮影

 窓いっぱいに広がる海が太陽を浴び、キラキラ輝いて見える。「横浜こどもホスピス~うみとそらのおうち」。横浜市金沢区に完成した、病児や家族らのための「第二の我が家」を目指す療養支援施設だ。

 「ホスピスというと『みとり』の場所と思われるかもしれませんが、ここは、子どもの笑顔を守る場所。命に関わる病気の子どもと家族、地域がつながるコミュニティーです」。NPO「横浜こどもホスピスプロジェクト」代表理事の田川尚登(ひさと)さん(64)は昨年11月21日に開かれた落成式で来場者に呼び掛けた。

 2階建ての施設の1階は「みんなのホール」と名付けられた広間。「『お誕生日会をしたい』などの願いを、ここでかなえてあげたい」。そう話す田川さんの視線の先にはブランコやハンモック、キッチンもある。2階は個室が3部屋あり、病児と家族がくつろぐプライベートな空間だ。病児の移動を助けるリフトが部屋の天井近くのレールにつり下げられている。とっておきは家族みんなで入れる広々とした浴室だ。

 英国発祥のこどもホスピスは国内ではまだ珍しく、医療機関ではなく自宅と病院の中間のような施設。難治性の小児がんや進行性の筋ジストロフィー、先天性心疾患などの病気を抱え、病院中心の生活になりがちな子どもや家族に、家庭的な雰囲気で楽しく過ごせる時間を提供するのが目的だ。

 「横浜こどもホスピス」は今月から利用を本格化し、1日2~3家族、日中の数時間ずつの利用を想定している。看護師や保育士が常駐し、病児の体調や希望に合わせて、遊びや学び、入浴、休息など個別のプログラムを提供する。宿泊を可能にすることも検討中だ。利用は主治医に相談することが原則で、子どもの体調が急変するなどした場合、まず主治医に対応を求める。こうしたプログラムや施設にある設備などには、多くの小児がん遺族らの願い、そして、田川さんが「娘にしてあげたかったこと」も取り入れられている。

突然の入院、親子の生活激変

 「開設まで志がぶれずにこられたのは、娘とのかけがえのない時間があったからです」。田川さんは語る。24年前に小児がんで亡くなった次女、はるかちゃん(当時6歳)のことだ。

 はるかちゃんが幼稚園の年長だった1997年の夏、田川さんは異変に気付いた。…

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