避けてきた五輪 幻のモスクワ体操代表が政治に揺れる祭典に思うこと
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「平和の祭典」という理想を掲げながら、その時々の国際政治に揺り動かされてきたオリンピック。開幕が迫った北京五輪でも政府高官を派遣しない「外交的ボイコット」の動きがみられる。関係者の体験や証言を通じて政治に揺れる五輪を考える。
「またか」の思い
北京オリンピック開幕まで2カ月ほどになった昨年12月、テレビや新聞に「ボイコット」の言葉が躍ると、「またか」という思いが頭をよぎった。1980年モスクワ五輪で体操女子の代表に選ばれながら、日本のボイコットで出場がかなわなかった相模原市の小学校教師、津田桂(かつら)さん(56)=旧姓・内田=は、夢の舞台への道が途切れた42年前の気持ちを今もよく覚えている。
8歳で体操を始めた。中学3年で全国大会優勝など力を付け、東京都内の体操の名門高校に入学。直後の80年5月上旬、モスクワ五輪の最終選考会で代表7枠の7人目に滑り込んだ。当時、旧ソ連のアフガニスタン侵攻への対抗措置として米国が五輪ボイコットを呼び掛け、日本政府も追随。東西冷戦下の政治状況に巻き込まれ、スポーツ界は緊迫した局面にあった。ただ、自身はコーチらの「五輪はある」との言葉を疑わなかった。
「オリンピックに行けないの?」
代表決定の半月後に始まった合宿は重苦しい雰囲気だった。今振り返ると、コーチや年上の選手は出場が難しいと知っており、その影響だと思う。同月24日、合宿地だった東京・品川の体育館をスーツ姿の男性が訪れ、選手を集めて口を開いた。「ボイコットが決まったので、オリンピック出場がなくなりました」。最初に浮かんだのは「精神的につらい合宿が終わってほっとした」という思い。すぐに「オリンピックに行けないの?」と信じられない気持ちになった。
報告がある直前…
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