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出会った時は赤の他人だった。離島から出稼ぎに来た青年、喫茶店を経営する中年夫婦、鉄工所の若社長。都会の片隅にある喫茶店で知り合った4人は、毎晩食卓を囲んだ。縁をつないだのがモーニングのゆで卵。血のつながりのない「家族」が、本当の「親子」になるまでの半世紀にわたる物語を紹介したい。
「歌好きやねんな」
高度成長期の「いざなぎ景気」に沸く1967年の春。鹿児島県の離島・中甑(なかこしき)島(薩摩川内市)出身で、中学を卒業したばかりの青年が神戸の港町に着いた。青年の名は当時15歳の秋信(あきのぶ)さん(70)。鉄工所で働くためだ。
油まみれになって働き、都会での1人暮らしに慣れ始めた翌年の秋。近所に音楽を聴ける喫茶店があることを知った。店名は「はっちゃん」(神戸市長田区)。カウンターには当時42歳だった「ママ」こと牧野節子さんがいた。店は酒を提供し、夜もにぎわう。店内に置かれたジュークボックスにコインを入れ、鉄工所のラジオで聴いたことがあった黛(まゆずみ)ジュンの「夕月」を選んだ。テーブルに一人座ってミックスジュースを飲んでいると、ママから「歌好きやねんな」と声を掛けられた。それが店に通う始まりだ。
店には、ママの10歳上の夫金将(かねまさ)さんも手伝いに来ていた。「おっちゃん」こと金将さんも、身長が160センチだった秋信さんを「ちび」と呼んでかわいがってくれた。
4人で食卓囲む穏やかな25年
秋信さんは69年に父を64歳で亡くす。離島に残る母への仕送りを増やそうと、給料のいい新たな勤め先を探していた。そんな時、ママから夕飯…
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