収容死の責任「言い逃れ」と怒り 「入管は何も変わらない」 犠牲重ねる司法軽視
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昨年、出入国在留管理庁が収容する外国人の人権問題に、改めて光が当てられた。政府が入管法改正案の成立を目指していた3月、名古屋出入国在留管理局(名古屋市)で、収容中のスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)が死亡。入管行政への非難が高まる中、人権上の問題が多々指摘された法案は廃案に追い込まれた。今国会の再提出も見送る方針という。改めて現状を考える。
「アイム ダイイング(死にそうだ)――」。昨年12月10日、水戸地裁301号法廷のスクリーンに、苦しみながらそう繰り返すカメルーン人男性の姿が映し出された。2014年3月29日午後7時過ぎ、東日本入国管理センター(茨城県牛久市)の一室で撮影された映像。当時43歳だったWさんは翌30日朝に死亡した。助けを訴える声が次第に弱まっていくほぼ半日の間、入管はWさんをこの部屋にとどめ、死亡確認まで医師の診察機会を与えなかった。Wさんの遺族が国などを相手取って17年に起こしたこの訴訟については、19年7月の当欄で紹介した。
この日は原告・被告それぞれが申請した医師2人が証人として出廷。映像などを手がかりに、当時の入管側の判断・措置をめぐって医学的見解を求める尋問が行われた。Wさんに糖尿病を含む複数の疾患があったことは、入管も収容直後の診断で前年に把握していた。加えて、最後に入管が認めた死の3日前の診察で、Wさんは胸の痛みやふらつきを医師に訴えている。
証人尋問では、「死にそうだ」の声が記録される1時間以上前に、Wさんがうめき声を上げ、係官に助けを求める紙を示していたことを映像で改めて確認。原告側証人の医師は「全身をめぐる血液が足りない症状と考えられ、この時点で救急搬送していい状態」と証言した。
対して国側代理人は反対尋問で問いかけた。「Wさんが…
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