建設進むトヨタ「未来都市」 地元出身記者だから分かる違和感

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ウーブン・シティの完成イメージ=トヨタ自動車提供
ウーブン・シティの完成イメージ=トヨタ自動車提供

 トヨタ自動車がウーブン・シティと名付けた“未来都市”の建設を静岡県裾野市で進めている。自動運転など最先端技術を実証実験する場との触れ込みだが、いまだ詳しい全体像は明らかにされていない。2021年4月からトヨタを取材する記者(31)は偶然にも予定地付近の出身。地元を歩くと期待の声が聞こえる一方、既に翻弄(ほんろう)されている姿も浮かんできた。

心がざわついた社長の一言

 取材のきっかけは、トヨタの自社メディア「トヨタイムズ」が21年10月6日に配信した動画での豊田章男社長の発言だった。「(街の運営は)言葉を選ばずに言うと『トヨタの独裁主義』でやらせてほしい」などと語り、実証実験を行う区域をウーブン・シティの外にも広げ、将来的には周辺市町にも拡大する構想も示した。

 私の実家は予定地から10キロほどの場所にあり、予定地周辺には妻の実家も含め親戚や友人も多く住む。豊田社長の歯に衣(きぬ)を着せない独特の言葉遣いやトヨタの高い技術力は半年の取材で知っていたが、この時ばかりは故郷を造り替えられるようで心がざわついた。

 21年12月中旬、地元の声を聞こうとウーブン・シティの予定地を訪れた。東名高速道路の裾野インタ…

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