国交省不正で見えた「政府の病巣とデータ軽視のワナ」

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インタビューに応じる平田英明・法政大教授=東京都武蔵野市で2022年1月7日午後0時44分、後藤豪撮影
インタビューに応じる平田英明・法政大教授=東京都武蔵野市で2022年1月7日午後0時44分、後藤豪撮影

 政府統計の不正がまた発覚した。厚生労働省の毎月勤労統計に続き、2021年12月には国土交通省の建設工事受注動態統計で建設業者の提出した調査票を無断で書き換える不正が明らかになった。統計は、経済の実態を把握し、政策の方向性を定め、それが効果的かどうかを測る重要な「ものさし」のはずなのに、不正が繰り返される病巣はどこにあるのか。日銀で統計作成を担当した経験もある平田英明・法政大教授(マクロ経済学)に聞いた。【聞き手・後藤豪】

 ――統計はなぜ重要なのでしょうか。

 ◆日本経済版の人間ドックだと考えてもらえればいいと思います。経済の実態をつかむには、国内総生産(GDP)だけでなく、失業率や物価なども含めて、さまざまな統計を用いて複合的に判断する必要があります。

 たとえば、赤血球や白血球の数が不正確な検査結果を示されて「あなたは健康です」と言われても困りますよね。不正に算出された統計をもとに政策が作られれば、穴の開いた材木で家を建てるようなものです。そこに住む人たちは安全に暮らせません。

 ――国交省では調査票の書き換えという信じがたいことが行われていました。

 ◆まずは担当部署が当たり前にやるべきことをやっていなかったという点が問題です。きちんとデータを集めることは、統計作成の基本中の基本です。これまで統計調査に協力してきた人たちから「不正をしているのなら、もう協力する必要はない」と思われて、政府統計の精度が落ちていくことが一番の懸念です。

 ――なぜ統計不正が繰り返されるのでしょうか。

 ◆統計担当部署の人員削減が大きく影響しています。安倍晋三政権以降、政府は「EBPM(証拠に基づく政策立案)」を掲げていますが、証拠に相当する統計の大切さや手間の…

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