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大阪ビル放火

2021年12月17日、大阪市の繁華街「北新地」の雑居ビルで火災が発生し、26人が死亡しました。

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容疑者の所持金約1000円 生活困窮で自暴自棄か 大阪ビル放火

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放火殺人事件があった雑居ビルに向かって手を合わせる女性=大阪市北区で2021年12月24日午後2時50分、猪飼健史撮影 拡大
放火殺人事件があった雑居ビルに向かって手を合わせる女性=大阪市北区で2021年12月24日午後2時50分、猪飼健史撮影

 大阪市北区の雑居ビルに入るクリニックで院長の西沢弘太郎さん(49)ら男女25人が犠牲になった放火殺人事件で、死亡した谷本盛雄容疑者(61)の所持金が約1000円だったことが捜査関係者への取材で明らかになった。近年は定期的な収入が途絶えていた可能性が高いことも判明。大阪府警は谷本容疑者が生活に困窮して追い詰められ、自暴自棄になっていた疑いがあるとみている。

 谷本容疑者は昨年12月17日午前、雑居ビル4階の「西梅田こころとからだのクリニック」の出入り口付近でガソリンにライターで火を付けて放火。西沢さんや院内にいた患者ら25人を殺害した疑いが持たれている。同じフロアから心肺停止状態で運ばれた女性1人は今も重篤の状態が続いている。

 捜査関係者によると、クリニック出入り口近くの非常階段周辺で、谷本容疑者のものとされる財布が発見された。府警がこの財布を押収して調べた結果、所持金はわずか約1000円で、他はクリニックの診察券や運転免許証などしか入っていなかった。預貯金も底をつきかけていたことも分かった。

 谷本容疑者は過去に板金工として働いていた時期もあったが、2011年に長男への殺人未遂罪などで懲役4年の実刑判決が確定。服役後は定職に就いていた形跡はないという。

 また、谷本容疑者は約35年前にマイホームとして購入した大阪市西淀川区の3階建て民家と、親族とともに相続した別の住宅を所有している。数年前まで他人に貸し出していたとされるが、府警の捜査でこの家賃収入も途絶えていたことが判明した。

 谷本容疑者は事件の約1カ月前から西淀川区の民家に滞在し、本格的に準備を始めたとされる。室内には「大量殺人」と手書きされたメモや36人が死亡した「京都アニメーション」放火殺人事件を報じる新聞紙面、ガソリン約2リットル入りの容器などが残されていた。一方で、民家の電気やガスは通っておらず、生活に困窮していた様子だった。

 妻とは10年以上前に離婚し、親族とも疎遠だった谷本容疑者。府警は経済的な苦境や社会的な孤立に絶望感を募らせ、大勢の人を巻き込む無理心中を図ったとの見方も強めている。

 ただ、谷本容疑者が事情聴取を一度も受けないまま死亡したことで、事件の核心部分は今も分かっていない。府警は押収品や関係者への聴取内容など客観的な証拠から具体的な動機の解明を目指している。【安元久美子、郡悠介】

【大阪ビル放火】

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