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大阪ビル放火

2021年12月17日、大阪市の繁華街「北新地」の雑居ビルで火災が発生し、26人が死亡しました。

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スマホに詳細計画や下見の記録 大阪ビル放火容疑者 事件半年前から

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放火殺人事件のあったクリニック=大阪市北区で2021年12月23日午前10時9分、藤井達也撮影 拡大
放火殺人事件のあったクリニック=大阪市北区で2021年12月23日午前10時9分、藤井達也撮影

 大阪市北区の雑居ビルに入る心療内科クリニックで西沢弘太郎院長(49)ら男女25人が犠牲になった放火殺人事件で、谷本盛雄容疑者(61)=死亡=が事件半年前の2021年6月から、自身のスマートフォンに詳細な計画やクリニックの下見メモを記録していたことが大阪府警への取材で判明した。クリニックの状況を入念に調べ、大勢の患者らが出入りする日を狙っていたことを示す文言もあった。クリニックとの間には今もトラブルは確認されておらず、府警は具体的な動機の解明を目指している。

 府警捜査1課は14日、事件発生から1カ月を迎える前に現在の捜査状況を公表した。

 谷本容疑者は21年12月17日午前10時20分ごろ、雑居ビル4階の「西梅田こころとからだのクリニック」でガソリンに火を付けて放火。西沢院長や患者ら25人を殺害した疑いが持たれている。金曜だったこの日は休職中の患者らの職場復帰を支援する「リワークプログラム」が開かれ、院内に多数の患者がいたとされる。

 府警によると、谷本容疑者のスマホは院内で発見された。府警はデータの復元や解析を進めた結果、谷本容疑者は21年6月14日から、日程を管理するスケジュールアプリに事件の計画や下見を始めたことを示す多数のメモを保存していたことが明らかになった。

 6月26日には「軽トラックを借りてガソリン20リットルを買う」と書かれ、この頃からガソリンを悪用する目的で調達計画を立てていた可能性がある。10月22日は「心療内科、9時58分までに計22人一気に入ってきた」と記載。この日は午前10時の開院時からリワークプログラムが予定されていた金曜だった。府警は谷本容疑者が「事件決行日」を大勢の患者が集まる金曜と計画し、入念な下見を繰り返していたとみている。

 また、事件前日の12月16日には「踊り場の扉上部にガムテープを張る」と記録されていた。クリニック出入り口近くの非常扉には、外側から扉を塞ぐように細工されていた形跡が府警の捜査で確認されている。谷本容疑者は院内が無人になった夜間に工作したとみられ、この3カ月前の記録には西沢院長の帰宅時間を調べる文言も残されていた。

 事件当日に「ライターに火が付くか必ず確認する。果物ナイフを必ず持っていく」と書かれていたメモを残していたことも判明。スマホに記録されていた一連のメモは谷本容疑者の実際の動きと符合しており、府警は事件の計画性を裏付ける重要な物証とみている。

 一方、府警がクリニックの電子カルテを復元した結果、谷本容疑者は17年3月から「夜眠れない」「体がだるい」と不調を訴えて通院していた。毎月1~3回の頻度で計112回受診。21年12月3日が最後の診察日だったが、トラブルは確認されていない。

 府警は物証の捜査や関係者への聴取をさらに進め、谷本容疑者を現住建造物等放火と殺人の疑いで年度内にも書類送検する方針だ。【安元久美子、郡悠介】

【大阪ビル放火】

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