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大阪ビル放火

2021年12月17日、大阪市の繁華街「北新地」の雑居ビルで火災が発生し、26人が死亡しました。

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わずか15秒で視界遮断か 不安尽きぬビルオーナー 大阪ビル放火1カ月

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放火事件があったクリニック(中央)=大阪市北区で2021年12月17日午前11時44分、藤井達也撮影
放火事件があったクリニック(中央)=大阪市北区で2021年12月17日午前11時44分、藤井達也撮影

 2021年12月に発生した大阪市北区のクリニック放火殺人事件は、17日で発生から1カ月を迎える。25人が犠牲となり、容疑者本人も死亡した。あの時、現場はどのような状況だったのか。そして避難するすべはなかったのか。

 事件ではガソリンが使われたが、詳細な状況は公表されていない。京都大大学院の原田和典教授(建築火災安全工学)は、ガソリンの物質的特性などを手がかりに当時の火災の広がり方などを試算した。その結果、現場となった4階の室内は出火から15秒後には黒煙で視界が遮られ、1分後には200度の高温に覆われて、多数の犠牲につながった、と考察した。

 今回の試算では黒煙の広がり具合に着目した。亡くなった25人(容疑者を除く)はいずれも一酸化炭素中毒になったが、火災では高温の煙が発生する。原田教授は「真っ黒なすすだらけの煙を吸ったら、呼吸できず動けなくなる。煙に包まれるまでの時間がどれくらいだったかが、(被害の大きさを把握する上で)重要だ」と説明する。

 まかれたガソリンの具体的な量は分かっていないが、容疑者が自転車で運び込んだことから1・5リットル入りペットボトルを用いたと考え、ガソリンが床面に直径50センチの円状に広がって燃焼したと想定した。この量のガソリンが燃えた時の火力は328キロワット。これは家庭用コンロの火力(4キロワット)の80倍に相当し、高さ2・1メートルの火炎が瞬間的に上がったと考えられる。

1分後には1メートル以上が黒煙に覆われ

 では、煙はどれくらいの速さで充満したのか。出火地点となった受付付近と待合スペース、その奥の通路の計40平方メートルを「仕切りのない同一空間」と捉え…

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【大阪ビル放火】

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