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北京オリンピック2022

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揺れる五輪

政治が五輪を利用しない方向に ノンフィクション作家の提案

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ノンフィクション作家の長田渚左さん=本人提供
ノンフィクション作家の長田渚左さん=本人提供

 「平和の祭典」という理想を掲げながら、その時々の国際政治に揺り動かされてきたオリンピック。開幕が迫った北京五輪でも政府高官を派遣しない「外交的ボイコット」の動きがみられる。関係者の体験や証言を通じて政治に揺れる五輪を考えたい。1回目の「幻のモスクワ五輪代表」、2回目の日本ウイグル協会副会長に続き、今回は五輪を長年取材してきたノンフィクション作家の長田(おさだ)渚左さんに聞いた。

「五輪本来の姿を考え直す時期」

 「五輪本来の姿を考え直す時期にある。五輪は1世紀も前から政治そのものだった」

 日本政府が北京オリンピック・パラリンピックに閣僚らを派遣せず、東京大会組織委員会の橋本聖子会長と日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長ら3人が出席すると発表した昨年12月24日。長田さんは五輪の政治利用が再び注目された今大会こそ、現状を変える「第一歩」にすべきだと強調した。

 日本から派遣される3人に対し「これからは政治が五輪を利用しない方向に行くようアピールしてほしい」と期待する。脳裏にあったのは政治によって「平和の祭典」がゆがめられてきた歴史だ。

選手8割「ボイコットすべきでなかった」

 JOCが選手団派遣をボイコットしたモスクワ五輪(1980年)について、編集長を務めるフリーペーパー「スポーツゴジラ」で何度も特集してきた。なぜボイコットを防げなかったのか。政界やスポーツ界が二度と誤った判断をしないよう検証を続けている。

 特集では「幻のオリンピアン」と呼ばれたモスクワ代表選手やJOCの元職員らにインタビューした。2017年には代表理事を務める日本スポーツ学会でモスクワ五輪選手団にアンケート調査を実施。幻の代表178人のうち、連絡先が判明した92人にアンケートを送り、62人が回答を寄せた。

 「日本のボイコットに意味があったか」の質問には74%が「いいえ」と回答。「ボイコットすべきではなかった」という意見は82%を占めた。「ボイコットはあなた自身に影響があったか」に対しては「大変にダメージを受けた」と「影響があった」を合わせ…

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【北京オリンピック2022】

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