「生理」は政界のタブー? “自民らしくない”男性議員の挑戦

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フェムテックについて話す自民党の宮路拓馬衆院議員=衆院第1議員会館で2021年12月16日、宮間俊樹撮影
フェムテックについて話す自民党の宮路拓馬衆院議員=衆院第1議員会館で2021年12月16日、宮間俊樹撮影

 男性中心の政界で、保守派が強い自民党に所属しながら、生理や妊娠・出産、更年期など女性の健康に関わる問題を、テクノロジーで解決しようとする「フェムテック」推進を掲げる“自民らしくない”男性議員がいる。ジェンダー(社会的性差)平等や、多様性のある社会づくりを訴える宮路拓馬衆院議員(42)。しかも選挙区は、男尊女卑の風潮が強いとされる鹿児島にあり、逆風は強そう。自民党に限らず、野党でもジェンダー政策を中心に訴える男性政治家は少ないのに、一体なぜ……? 狙いや実感を聞き、前後編で伝える。【菅野蘭/デジタル報道センター】

 宮路氏は、衆院鹿児島1区の選出で3期目。記者が宮路氏の活動を知ったのは、鹿児島支局に勤務していた2019年で、鹿児島での性暴力に関するイベント取材を通じてだった。自民党内で17年に発足した「性暴力のない社会の実現を目指す議員連盟」で、プロジェクトチームの座長を務めていた。同党では、00年代に「ジェンダー」という表現や「過剰な性教育」に対してバッシングする動きが強かったため、そうした分野で熱心に活動する宮路氏を知った時は驚いた。

「フェムテック」とは

 その宮路氏が政策の「一丁目一番地」とするのが、「フェムテック(Femtech)」だ。「Female(女性)」と「Technology(技術)」を掛け合わせた造語で、関連製品やサービスの市場が欧米を中心に急成長しており、日本でも注目されつつある。

 生理関連のフェムテック製品では、例えば「吸水型ショーツ」がある。ショーツ自体が経血を吸収するためナプキンやタンポンを使わずに過ごすことが可能となり、ムレやかゆみなどの肌のトラブルを避けたり、装着の手間を省いたりできる。膣(ちつ)から分泌されるおりものの状態を分析し、妊娠しやすい時期を測定する機器などもある。

 宮路氏は、このフェムテックを推進するため、20年10月に自民党内に「フェムテック振興議員連盟」を発足させる中心となり、事務局長に就任した。昨年10月の衆院選中も「フェムテック」を掲げ、自身のユーチューブチャンネルで「なぜ女性政策を訴えるのか」を説明するなどし、当選6回の立憲民主党のベテラン現職との一騎打ちを制した。

 政治の世界はもとより、一般社会でも生理の問題はタブー視されがちなのに、なぜそこまで、フェムテックや女性政策に熱心なのか。宮路氏に昨年12月中旬、国会事務所でインタビューした。

「10日に過ぎない」はアンフェア

 ――女性の健康に関わる「フェムテック」を、政策の「一丁目一番地」にしていますね。

 ◆女性が1カ月のうちにフルパフォーマンスを発揮できるのはわずか10日に過ぎない、という調査結果に心を動かされたのがきっかけです。個人差はあると思いますが、男性でパフォーマンスを発揮できないのは、飲み過ぎた次の日ぐらいだと思うんですよね。あるいはユーチューブを見過ぎて夜更かししちゃったとか。でもそれは自己責任です。

 それに比べて女性の「10日に過ぎない」は、すごくアンフェアだと思いました。このアンフェアさは人類共通の課題であり、海外では解決するためのサービスや商品が普及していますが、日本にはない。これは、政治が取り組まなければと思いました。

多様性がないと人口減に対応できない

 ――なぜ自民党で、しかも男性である宮路議員が訴えるのでしょうか。

 ◆根底には、コロナ禍を乗り越えたとしても、少子高齢化による人口減少という大波に襲われるという危機感があります。私の地元の鹿児島県は、人口が一番多かった時期は1955年です。当時は約204万人いましたが、今は約160万人。40年には130万人を切ると予想されています。

 人口イコール消費者なので消費が減りますが、それよりも先に働き手がいなくなります。農業や漁業、製造業で働き手不足、外交・安全保障にしても自衛隊員の応募者が少なくなっています。少子化対策に即効性はありませんが、ここに手を打たないでどうするんだと思いました。

 ――女性政策が人口減対策につながるということですか。

 ◆女性も男性も、障害を持つ人もそうでない人も、高齢者も若者も、あらゆる立場から最大限の力を発揮できる社会にしたい。それが、新た…

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