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再考エネルギー

東日本大震災から10年。原発安全神話が崩壊し、脱炭素社会への転換を迫られる今、この国のエネルギー政策を考えます。

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太陽光設置を義務化? どうなる住まいのCO2削減

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窓も素材によって断熱性能が大きく異なる=東京都新宿区で2021年9月27日午後、中津川甫撮影
窓も素材によって断熱性能が大きく異なる=東京都新宿区で2021年9月27日午後、中津川甫撮影

 脱炭素化を迫られる社会。産業界では既にさまざまな取り組みが進んでいるが、政府の計画上、二酸化炭素(CO2)排出量の最も高い削減率を迫られているのは家庭部門だ。暮らしに不可欠なエネルギーの消費をいかに減らすか。住まいの脱炭素化を追った。【中津川甫】

断熱による省エネ

 「昔の家」「今の家」「これからの家」――。東京都新宿区にある住宅設備大手LIXIL(リクシル)の「住まいスタジオ」では、家の断熱性能の違いを時代別に体感できる。窓の外を真冬並みに寒い環境にしたうえで、それぞれエアコンの温度を20度に設定している。

 まず「昔の家」。中に入ると、部屋の四隅から隙間(すきま)風が入ってきた。廊下やトイレはさらに冷え込んでおり、思わず腕を組んで背中を丸めてしまった。床の温度は15度。靴下越しに冷気が伝わる。

 次に「今の家」。気密性が高まり、部屋の四隅も暖かい。それでも床の温度は17度。暖かさにはもの足りなさが残った。最後に「これからの家」に入ると、思わず「あったかい」と声が漏れた。トイレや廊下ですら、リビングなどとの温度差をあまり感じない。床の温度は19度と室温に近かった。

 住宅には国が定める省エネ基準があり、「昔の家」が1980年制定の基準なのに対し、「今の家」は2016年に制定された現行の基準。しかし、日本の既存住宅の約9割はこの省エネ基準を満たしていない。

 断熱性能の低い家は、夏には外の熱気が侵入し、冬は暖房で暖めた空気が外に逃げてしまう。「夏は暑く、冬は寒い」家になる分、冷暖房を動かすエネルギー消費は増える。家庭における地球温暖化対策は、断熱性能をいかに強化するかが鍵を握っている。

30年遅れた日本

 「日本は欧州に比べて20年、30年も遅れている」

 50年までに国内の温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を宣言した菅義偉前政権の下で、昨夏まで開催された建築物のあり方を考える政府の検討会。東北芸術工科大の竹内昌義教授(建築学・1級建築士)は、断熱性能を高めてこなかったこれま…

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