正恩氏の「ミサイル愛」 開発秘話、小説に生々しく 失敗の科学者へ「最高のゴール決めよう」
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年明けから北朝鮮が弾道ミサイルの発射実験を繰り返している。あくまで自衛のための軍事力強化だと主張しているが、金正恩(キムジョンウン)総書記の「ミサイル愛」の深さはどこからくるのか? ここに彼の執念と開発の舞台裏を描いた実録小説がある――。
2012年4月13日早朝のことである。北朝鮮・北西部、東倉里(トンチャンリ)から「光明星3号」1号機が発射された。人工衛星の打ち上げと称していたが、技術的には長距離弾道ミサイルそのものだった。平和利用を印象づけるため、日本を含む海外メディアをわざわざ現地に招き、正恩氏の業績として世界へ速報されるはずだったが、ミサイルは上空150キロまで飛んだものの、爆発し、空中分解する。国家の威信は傷つき、正恩氏のメンツもつぶれた。ところが、その失敗から8カ月後の12月12日、改良型の「光明星3号」2号機の打ち上げに成功するのである。
この成功を正恩氏がどれほど喜んだか。極秘のミサイル開発ドラマを実録小説として公開することを許可したのだ。その小説は朝鮮作家同盟中央委員会機関誌「朝鮮文学」(17年11月号)に掲載された。タイトルは「西海の日の出」。作者はリ・ヨンファン。開発の中心、科学院P研究所のリュ・ミョンサン副所長が主人公である。40代後半の宇宙工学者で、金日成(キムイルソン)主席や金正日(キムジョンイル)総書記と記念写真も…
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