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Shall・we・バレエ?

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Shall・we・バレエ?

人は死して名作を残す=斉藤希史子

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牧阿佐美バレエ団「くるみ割り人形」より=鹿摩隆司撮影
牧阿佐美バレエ団「くるみ割り人形」より=鹿摩隆司撮影

 冬のバレエといえば「くるみ割り人形」。聖夜、くるみ割り人形が王子に変身し、夢の世界へと少女を誘う――。チャイコフスキーの甘美な旋律に乗せ、各団がそれぞれの特色を打ち出すのが恒例だ。

 おとぎ話というより無常観を見せたのは、松山バレエ団(2021年12月24日、神奈川県民ホールなど)。終幕、うたげが果てて辞去する人々を、少女クララ(森下洋子)は懸命に引き留めようとする。一別を嘆くそのさまは慟哭(どうこく)に近く、見る者を驚かせた。通常は人形を抱きしめ、夢から覚めた切なさをにじませながらほほ笑んで幕……となるところだ。総代表の清水哲太郎は世相を反映させて毎回、演出を変える。集うこと自体が難しく、今生の別れにもなりかねないコロナ禍を投影したのだろう。団の創始者である松山樹子を昨年5月に見送った喪失感も、重ねられていたかもしれない。

 同じく10月に主柱を亡くした牧阿佐美バレエ団は、牧の夫である三谷恭三の版を上演(同12月25・26日、東京・メルパルクホール)。クララは子役が務めるが、「雪の国」で王子と踊るなど見せ場が多い。清瀧千晴らを相手に、市川由凜菜らが立派に役目を果たした。

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