連載

オシント新時代~荒れる情報の海

重要性が増す公開情報に基づく「オシント」。現状と行方を考えます。

連載一覧

オシント新時代~荒れる情報の海

企業サプライチェーンのAI解析で見えた「ブラックコミュニティー」

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
国立情報学研究所の水野貴之准教授=東京都千代田区で2021年12月21日午前11時42分、松岡大地撮影
国立情報学研究所の水野貴之准教授=東京都千代田区で2021年12月21日午前11時42分、松岡大地撮影

 世界に広がる材料の調達網は複雑で、グローバル企業にとって自社のサプライチェーン(供給網)を完全に把握するのは容易ではない。膨大な公開情報をAI(人工知能)で分析することで、サプライチェーンに潜むリスクを「可視化」する研究が進む。国立情報学研究所の水野貴之准教授(計算社会科学)に、ビッグデータを駆使した政治・経済リスク分析の現在地を聞いた。【聞き手・松岡大地】

「悪い人の隣には悪い人がいる」

 ――企業の膨大な公開情報をAIで解析すれば、見えなかったものが可視化できるそうですね。具体的にはどのような例がありますか。

 ◆例えば、メディアやNGO(非政府組織)などから「環境汚染をしている」と指摘された企業を抽出し、公開されている財務情報に記載された取引先などとつなげます。それから売上原価比率(企業の売り上げに占める仕入れにかかった費用の割合)を業種ごとにまとめます。その結果、ある企業の仕入れ先に環境汚染を指摘された企業が存在する場合は、存在しない場合に比べて、売上原価比率が低い結果が出ました。そのような企業は、サプライチェーンに安価な部品や製品を供給し、それを調達した企業は安価に製品を作ることができます。

 すなわち、経済合理性だけを求めて安いものを仕入れる場合は、材料の調達過程の上流にある企業が、環境保護を怠っているといった理由で安い価格を実現している可能性があります。…

この記事は有料記事です。

残り2146文字(全文2736文字)

あわせて読みたい

マイページでフォローする

この記事の特集・連載
すべて見る
この記事の筆者
すべて見る

ニュース特集