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香山リカのココロの万華鏡

精神科医の香山リカさんのコラム。06年から続く長寿連載。診察室から、現代人の“心の病”についての洞察します。

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香山リカのココロの万華鏡

あいさつは肉声で /東京

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 診察室にいたら、隣の部屋から流ちょうな英語の会話が聞こえてきた。ひとりは患者さんだろうが、もうひとりの医者らしき人の声には聞き覚えがない。しかも、ときどきボソボソっと日本語も交じり、そちらは同僚の医者の声だ。

 「そうか」と私は気づいた。医者は日本語で「熱はありますか」などと質問し、スマホの自動翻訳機能を使って英語の音声に変換しているのだ。「すごい」と驚きながら、いまから20年くらい前のできごとを思い出した。

 それは、国際学会に出席するため米国を訪れたときのことだ。滞在期間の終わりごろ、いっしょに出かけた日本人グループの男性が体調を崩した。夕方になり、現地で学会の運営に携わる人が「病院に行きましょう」と言い、その人に連れられ彼は心配そうな顔で出かけていった。

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