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5分前まで元気だった夫 残した一枚のカード 家族の重い「決断」

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原澤さん一家の家族写真。在りし日の幹雄さん(左)と美智子さん(右)、長男大幹さん(中央右)、長女美鈴さん。穏やかな表情が印象的だ=家族提供
原澤さん一家の家族写真。在りし日の幹雄さん(左)と美智子さん(右)、長男大幹さん(中央右)、長女美鈴さん。穏やかな表情が印象的だ=家族提供

 もし、かけがえのない家族が突然終末期を迎えたら――。新潟県柏崎市の原澤美智子さん(63)はそんな「あり得ない」と思っていた経験をした。「5分前まで元気だった」という夫の幹雄さん(当時45歳)が突然倒れ、帰らぬ人になったのだ。戸惑い、苦悩、悲嘆……。心身ともに追い込まれた原澤さんを救ってくれたのは、夫が残した一枚のカードだった。【倉岡一樹】

夫が倒れる「さっきまで元気だったじゃない」

 2003年夏、夫が市内の自宅で突然倒れた。救急車を呼んだ美智子さんは病院へ向かう途中、心の中で叫んだ。

 「さっきまで元気だったじゃない!」

 夫はその日に限って体調不良で病院に行く予定だった。持病などはない。医療系会社の部長職を務め、仕事も順調だった。アウトドアを愛し、子どもを釣りや磯遊び、ゴルフなどに連れ出した。「勉強以外は何でも教える」。そう笑顔で話していた元気な夫がなぜ倒れたのか――。思い当たる節はなかった。

 柏崎市内の病院に搬送された夫の診断は心筋梗塞(こうそく)だった。美智子さんは駆けつけた長男の大幹さん(当時高校1年)と長女の美鈴さん(同中学3年)に動転しながら伝えた。「お父さん、死んじゃうかもしれない」

 蘇生措置で心臓の拍動が再開したが、夫の意識は戻らない。顔は赤く、苦しそうだった。翌朝、病院長から告げられた。

 「うちの病院ではどうすることもできない」

 転院した長岡市内の総合病院で、受付の事務職員から尋ねられた。

 「こちらのカードはお持ちですか?」

 示された6種類のカードの中に、見覚えのある黄色いカードがあった。

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