快適な眠りは保証します 二度寝を許さない駅宿直室の「不思議」
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ウィーン、ウィーン、ウィーン……。夜明け前の地下鉄の駅では毎朝、こんな機械の振動音が響いている。これは宿直の駅員を起こすための「定刻起床装置」の音。絶対に朝寝坊できない駅員を定時にたたき起こす決め手らしい。そういえば、朝寝坊して電車に駆け込む乗客はいても、駅員の朝寝坊で閉まったままの駅は記憶にない。「東京メトロ裏側探検隊」の第2回は、メトロの定刻運行を支える秘密を探った。【北山夏帆】
全駅24時間有人
「どの駅も必ず駅員が宿直しているんですよ。知ってました?」。広報担当の何気ない一言が気になった。宿直する駅員は一体どこで寝るのか? 万一、寝坊したら、駅はどうなってしまうのか? 疑問が次々にわいてくる。
メトロ副都心線の新宿三丁目駅を取材させてもらった。出迎えてくれたのは、この駅で勤務して8年目のベテラン駅員、林康治さん(35)。「英語に堪能で、親切な接客が仲間内でも評判」という林さんの案内で駅事務室の奥へ。
ずらりと金属製のドアが並ぶ。録音スタジオのようだ。そのうちの一室のドアを開けてもらうと、部屋の中にはベッドが1台。この厚いドアは、電車の走行音や駅の騒音から快適な眠りを守ってくれる防音設備だった。
「うらやましい!」。心の中の声が漏れそうになった。記者が働く毎日新聞の東京本社にも2段ベッドが並ぶ宿直室があるにはある。夜中の事件事故や災害、深夜から早朝帯の取材に対応するためだ。ところが、シャワールームが併設された女性宿直室では、深夜にシャワーとドライヤーの音が響いたり、早朝に取材がある記者が非常識な時間に目覚まし時計をセットしていたりと、安眠、快眠にはほど遠い状況である。
男性…
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