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東日本大震災から10年。原発安全神話が崩壊し、脱炭素社会への転換を迫られる今、この国のエネルギー政策を考えます。

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LNG「爆買い」中国、日本超え輸入量世界トップ 争奪戦の影響は

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中国・北京市内の火力発電所。石炭から天然ガスへの転換が進む=2021年2月4日午後4時45分、小倉祥徳撮影
中国・北京市内の火力発電所。石炭から天然ガスへの転換が進む=2021年2月4日午後4時45分、小倉祥徳撮影

 中国の2021年の液化天然ガス(LNG)の輸入量が日本を抜いて世界一になった。石炭に比べて燃焼時の二酸化炭素(CO2)排出が少ない天然ガスを「低炭素」エネルギーと位置づける中国が「爆買い」しているためだ。同じ理由で天然ガスを求める国は日本を含めて少なくない。LNG争奪戦が激化すれば、各国のエネルギー政策や脱炭素戦略にも影響しそうだ。

脱炭素化急ぐ中国

 20日発表された日本の貿易統計によると、21年のLNG輸入量は7431万トン(前年比0・2%減)。中国の輸入量7893万トン(同18・3%増)を下回った。15年時点で中国の輸入量は日本のわずか4分の1程度に過ぎなかったが、その後は右肩上がりで増加。市場で21年中には起こると予想されていた「逆転劇」が現実となった。

 日中逆転の背景にあるのが、脱炭素化を急ぐ中国の気候変動対策だ。習近平国家主席は20年9月の国連演説で、30年までにCO2排出量を減少に転じさせ、60年に温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を宣言。同年12月には別の国連会議で、再生可能エネルギーである太陽光と風力の設備容量を30年までに、原発1200基分に相当する計12億キロワット以上に引き上げる意向を示した。

 だが、現状では総発電量に占める風力・太陽光発電の割合は1割程度にとどまる。排出量を抑えつつ電力需要を満たすにはどうするか。目を付けたのが天然ガス火力だ。実際、寧吉哲・中国国家統計局長は17日の記者会見で、天然ガスについて、発電時にCO2を出さない水力、風力、太陽光、原子力と並ぶ「クリーンエネルギー」との認識を示した。

天然ガスからLNGへ

 LNGは天然ガスをマイナス162度に冷却して液化させたもの。天然ガスは取れる場所から輸送先までをパイプラインで結んで運ぶ必要があるが、…

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