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第71期王将戦

第71期王将戦は藤井聡太竜王が渡辺明王将に4連勝し、王将位を奪取、史上最年少の5冠を達成。棋譜詳報は棋譜・対局結果にて。

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王将戦七番勝負 藤井、驚きの一手の狙い 渡辺の後悔 大熱戦第1局

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第71期ALSOK杯王将戦七番勝負第1局で渡辺明王将(左)に勝った挑戦者の藤井聡太竜王=静岡県掛川市の掛川城二の丸茶室で2022年1月10日午後7時31分、小出洋平撮影
第71期ALSOK杯王将戦七番勝負第1局で渡辺明王将(左)に勝った挑戦者の藤井聡太竜王=静岡県掛川市の掛川城二の丸茶室で2022年1月10日午後7時31分、小出洋平撮影

 どこで勝敗が分かれたのか――。静岡県掛川市の掛川城二の丸茶室で9、10日に行われた第71期ALSOK杯王将戦七番勝負第1局(毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社主催、ALSOK特別協賛、掛川市教委、静岡新聞社・静岡放送後援、島田掛川信用金庫、ゼロの会、掛川市、囲碁・将棋チャンネル、立飛ホールディングス、森永製菓協賛)。挑戦者の藤井聡太竜王(19)が渡辺明王将(37)に勝ち、史上最年少王将獲得へ向けて好スタートを切った。終始互角に近い形勢で、双方が1分将棋にもつれ込んだ最終盤で藤井が競り勝ったものの、渡辺にもチャンスの多い将棋だった。藤井は何を考えて指していたのか? また、渡辺が悔やんだ手とは? 22日に始まる第2局を前に、日本中が手に汗握った大熱戦を神谷広志八段の解説とともに振り返る。【山村英樹/学芸部】=▲は先手、△は後手

「進撃の藤井」阻止できるか

 さまざまな記録を更新し続ける藤井が、ついに王将戦の挑戦者になった。昨年は棋聖と王位を防衛、叡王と竜王を獲得して史上最年少4冠に輝いた。昨秋、竜王戦と並行して行われた王将戦挑戦者決定リーグでは開幕から5連勝し、最終局を待たずに王将戦初挑戦を決めた。最終局には敗れたものの、豊島将之九段の史上最年少挑戦記録(20歳)を更新する「19歳」で挑戦者になった。王将位を獲得すれば、中村修九段が持つ王将獲得最年少記録(23歳)を更新する。また、5冠を獲得すれば「史上最年少5冠」になることは言うまでもない。

 王将3連覇・通算5期の渡辺にとってみれば、いつかは来るであろう藤井の王将挑戦が現実になった。一昨年の棋聖戦で藤井に初タイトルを許し、昨年はリターンマッチを挑んだが敗退、タイトル初防衛も許してしまった渡辺。今期王将戦は藤井の進撃を止める機会でもある。昨年9月の銀河戦準決勝では藤井に勝ち、自信を深めて七番勝負への準備を進めてきたと思われた。

検討陣をざわつかせた藤井の8六歩

 振り駒で藤井が先手番になり、立会の森内俊之九段が声をかけて対局開始。戦型は相掛かりになった。両者が研究に使っている最新のディープラーニング(DL)系将棋ソフトが相掛かりを採用することが多いためか、最近の居飛車の戦型は相掛かりが多い。両者の息が合って速いペースで序盤戦が進み、<25>3七銀~<27>4六銀と早繰り銀の趣向に出たのが藤井の作戦だった。すぐに戦いが始まることはなく持久戦模様になったが、<41>8六歩(第1図)が控室の検討陣を驚かせた。神谷八段が「信じられないものを見た。私が教わってきた将棋観が間違っているような気がした」と語るほどだった。

 部分的には指されたこともあるようだが、この段階では珍しい。昼食休憩に入る6分前に指されたことから、藤井にとっては駆け引きなどはない自然な指し手だったのだろう。次の<43>6六歩も(将棋ソフト以外は)予想できない手で、この2手を見て藤井の狙いは…

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【第71期王将戦】

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