略奪し放題 南アフリカの鉄道はその後、どうなったか

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ホームに停車中の新型車両=南アフリカの首都プレトリアで2022年1月17日午前10時50分、平野光芳撮影
ホームに停車中の新型車両=南アフリカの首都プレトリアで2022年1月17日午前10時50分、平野光芳撮影

 南アフリカでは2020年、新型コロナウイルス対策の厳しいロックダウン(都市封鎖)中に運行を休止した鉄道の施設から電線やケーブルが大量に盗まれ、再開不能になるほどの壊滅的被害を受けた。電車は主にマイカーを持てない貧困層の日常的な交通手段で、通勤や通学に深刻な打撃を与えた。被害から2年近くたった今、現場はどうなっているのだろうか。

 首都プレトリア郊外にある南ア旅客鉄道公社マボパネ線のプレトリア北駅。1月17日午前、プレトリア行きの普通電車が静かにホームに入ってきた。マボパネ線はこの日が本格運転再開の初日で、12両編成の電車は青を基調とした真新しいステンレス製だ。再開の正式決定が数日前と急だったこともあり乗客はまばらだったが、駅にいた公社の女性職員は「あと2週間もすれば多くの乗客が戻ってくる」とピカピカの電車に目を細めた。

 プレトリアやヨハネスブルクがあるハウテン州では、20年3~6月にロックダウンで電車の運行を止めた際、施設からの略奪が横行して20弱ある公社路線がほぼ全て運行できなくなった。政府は大統領特命の復旧プロジェクトとして、プレトリア中心部から北に約45キロ延びるマボパネ線の工事を最優先で実施した。7億ランド(約50億円)を投じて電線の架け直しや駅の補修を行い、新型車両も投入。今後は線路脇に侵入防止のコンクリート壁も整備する計画だ。19日に電車に試乗したムバルラ運輸相は「復旧で30万人に恩恵があり、時間通り職場に通えるようになる」と胸を張った。

運休続く駅はさらに荒廃…

 ただ他の路線は悲惨な状況だ。プレトリア北駅から南に約90キロ、ヨハネスブルク南郊にあるローリー駅。1月上旬、記者が20年10月以来1年3カ月ぶりに現地を訪れる…

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