時間稼ぎの水際対策「何をしていたのか」 入国制限を考える/上
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新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府は外国人の新規入国を原則禁じ続けている。留学生が入国できず、外国籍の家族と離別を強いられる事例が相次ぐ。危機管理に詳しい日本大学の福田充教授に、今の入国制限の問題点や日本が目指すべき危機管理について話を聞き、2回に分けて伝える。【聞き手・日下部元美】
危機管理・福田充教授に聞く
――まず入国制限の問題を考える上で、必要な危機管理の基本を教えてください。
危機管理は、インテリジェンス(情報収集・分析)▽セキュリティー▽ロジスティクス(物資の準備・運用)▽リスクコミュニケーション――の四つの機能が回ることでうまくいく。
簡単に説明すると、感染症対策におけるインテリジェンスというのは、ウイルスや新変異株がどのような特性を持っているのか、どのような症状が発生しているのかを情報収集し、分析することにある。セキュリティーは外部からの危機に対して内部の安全を確保することであり、コロナ禍ではいわゆる入国制限など「水際対策」を指す。ロジスティクスは病床やマスク、防護服の確保、ワクチンや治療薬の開発など、国内の医療体制を整えることをいう。
そして、国内における対策を国民に説明し、合意形成をしていく。マスクの常時着用や3密(密閉、密集、密接)を回避するように呼びかけ、社会教育していく。これがリスクコミュニケーションだ。この四つの機能をいかに連携させ、回していくのかが大事だが、安倍晋三と菅義偉の両政権では四つがバラバラだった。戦略がなく、場当たり的に対応しているだけだった。
岸田文雄政権は同じ失敗を繰り返さないように意識している。安倍・菅政権のようにリスクコミュニケーションをおろそかにしないように、記者会見では丁寧に応じ、政策を説明している。そして、慎重に動きながらも、動くときは大胆に動いている印象だ。その例の一つが、新型コロナの変異株「オミクロン株」の流行に伴い、昨年11月末に行った入国制限だといえる。
制限の本質はロジスティクス
――日本の入国制限はとりわけ厳しいと言われていますが、どう評価しますか。
オミクロンが弱毒性であるという海外の事例もあったが、そこで緩めずに水際対策で先手を打ったことは正しかった。弱毒性であろうと、未知の部分も多かった。新しい危機に対して、最悪を想定するのは危機管理の鉄則だ。それを国民も支持したし、実際に国内でオミクロン株が流行するまでは他国よりも時間がかかった。
だが、水際対策は完璧ではなく、ウイルスはいつか入ってくる。水際対策はあくまで時間稼ぎで、ウイルスの流入を遅らせているうちに、いかにインテリジェンスで分析し、ロジスティクスを充実させられるのかが非常に重要だ。
今回、考えるべきなのは、…
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