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新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府は外国人の新規入国を原則禁じ続けている。留学生が入国できず、外国籍の家族との離別を強いられる事例も相次ぐ。危機管理に詳しい日本大学の福田充教授とのインタビューの後編では、日本の危機管理対策の本質的な問題点を考える。【聞き手・日下部元美】
「危機あおっている」忌避する社会
――入国制限では、防疫対策と人権との兼ね合いが問題となっています。
危機管理では危機を未然に防いだり、最小限に食い止めて安全安心を確保したりすることに価値を置く。だが、それを強化しすぎると、必ず自由や人権と衝突する。危機管理と人権はトレードオフ(相反関係)にある。例えば、テロの場合、未然に防ぐことだけを考えるなら、監視カメラだらけになったり、通信を傍受されたりするような社会になる。安全安心の価値を高めれば高めるほど、人権との兼ね合いの中で、どこで線引きするのかという議論をしっかりしないといけない。だが、前にも述べたが、この議論がうまくできていないのが日本社会だ。
――なぜでしょうか。
日本人は戦後、危機を想定して制度を作ることをせず、「危機が来ない」「危機について議論しない」という文化があるからだ。日本で「危機管理」は1995年ごろまでタブーだった。戦争の経験から、国家が市民を監視し制御する性質を持つ危機管理を、政治も社会も忌避してきた。だが、95年に阪神大震災があり、オウム真理教による地下鉄サリン事件が発生した。なぜ地震で6000人以上の人が死んでしまったのか、オウムは以前から注目されていたのになぜ事件発生を許してしまったのか、と議論になり、「危機管理がないからだ」とメディアや行政がこぞって言い始めた。
2010年代に入ると、危機管理ブームが起きた。だが、それでも実際に危機を想定して事前準備をすると、「危機をあおっている」「政府が国民を統制しようとしている」などと言われ、十分に取り組めなかった。有事を考えたくない国民性といえる。
そのため、平常時の議論と対策が不十分なまま、01年の米同時多発テロ、11年の東京電力福島第1原発事故…
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