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名前の一部に明らかに男性であることを示す文字があった。「〇男」。幼い頃から、名乗るのも呼ばれるのも嫌だった。放送中のNHK連続テレビ小説を見るたびに思う。「主人公の『るい』のように男女どちらに生まれても通用する名前にしてくれていたら」
性同一性障害に苦しみ続けた大阪府守口市の性善寺(しょうぜんじ)住職、柴谷宗叔(そうしゅく)さん(67)。今、性別欄には「女」と書けるようになった。勝ち取るまでの半生は無理解との闘いだった。
小学生になると、程なく男性であることに違和感を覚えた。「男の子と野球をするより、女の子の輪に入りたかった」。でも、仲間に入れてもらえずもどかしかった。中学に進むと、女性として振る舞いたい意識が高まった。だが、詰め襟に坊主頭。当時は社会に性同一性障害の概念はほぼない。「分かってくれる人もいない。親にも先生にも言えない」。独り悩みながら3年生に。スーパーでスカートを購入し、自室で着た。男物と違ってさ…
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