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新・心のサプリ

心療内科医・海原純子さんのコラム。

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新・心のサプリ

生かされている=海原純子

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 アメリカのメリーランド大学で豚の心臓を人間に移植する手術が行われたという。拒絶反応を起こさないようにあらかじめ遺伝子操作された豚の心臓が使われたということだ。

 移植を受けたのは重い心臓病で移植の他に治療法がない50代の男性だ。専門家は医学的にみて画期的な出来事というコメントを寄せていた。

 確かに他に治療法がない難病の治療ができるのは素晴らしいのだが、どこか手放しで喜べない思いがある。医学にかかわる者としては全面的に称賛するのが当然と思われるかもしれない。だが、遺伝子操作されて心臓を摘出される豚のことが気になってしまう。もし自分が豚の立場だったら、という気持ちになるのだ。反論するすべもないままそんなことをされたらいやだなあ、と。

 そんなことをいちいち言っていたら進歩はないということになるのだろうが、医学生のころから動物実験をする時にはいつもどこかに「申し訳ない」という気持ちがよぎった。

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