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教室でその言葉に反応したのは、私一人かもしれない――。19日、広島市内の私立女子高であった世界史の授業。3日後の22日に発効から1年を迎える核兵器禁止条約について先生が説明した。「高校生平和大使」として国内外で核廃絶を訴える2年の岡島由奈さん(17)はうれしくなった。まだ教科書にも載っていない現在進行形のリアルが授業で取り上げられたのだ。だが、すぐに周りとの温度差を感じ、感情を押しとどめた。「みんなは条約を知らないかも。友達には核廃絶について話せない」。いつものモヤモヤした気持ちが、また頭をもたげた。
きっちり結わえた黒髪と眼鏡越しに咲く笑顔。将来の進路にも悩む普通の女子高生だ。広島出身の多くの人がそうであるように、岡島さんには1945年8月6日に米軍が投下した原爆に遭った親族がいた。曽祖父は爆心地近くで被爆し、間もなく死亡した。祖父から「僕は9歳の時にお父さんを亡くした」と聞き、小学生のころから平和について関心を持ってきた。
初めて被爆者と身近に接したのは中学2年の時。8月6日の原爆の日に、外出が難しい高齢者に代わって、原爆ドーム(広島市中区)脇を流れる元安川で灯籠(とうろう)流しをするボランティアに参加した。原爆養護ホーム「舟入むつみ園」(同区)に暮らす被爆者の女性(93)の灯籠を預かることになった。口数が少ない女性に対し、おずおずと話しかけた。「あの、体験を聞かせていただけないでしょうか」
「人ごと」が「自分ごと…
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