知られざる「リワーク」 その効果と課題とは 心の病から復職支え
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大阪市北区の放火殺人事件の現場となったクリニックでは、「リワークプログラム」という治療が行われていた。うつ病などで休職した人の職場復帰をサポートするものだ。リワークを導入する医療機関は約15年間で6倍以上に増えたが、課題もある。
「通勤」で生活リズム改善
「人に相談するメリットは?」。講師を務める精神保健福祉士が問い掛けると、20~50代の男女18人から「問題が解決しそう」「気持ちが楽になる」と次々に声が上がった。「京都駅前メンタルクリニック」(京都市下京区)でリワークの一環として開かれたコミュニケーション講座の一コマだ。その後、仕事の依頼が立て込んだことを想定したロールプレーイングをした参加者たちは、ミーティングでこの日取り組んだことを報告し合った。まるで職場のような雰囲気だ。
うつ病で休職中の男性(48)は2021年2月から、このリワークを受ける。「苦手だった人付き合いに対する考え方が変わった。みんなが同じ当事者なので、ここなら失敗しても安心」と笑みを浮かべた。
リワークとは「return to work(リターン・ツー・ワーク)」の略語。精神疾患で休職した人が職場復帰に向けて受けるリハビリのことだ。会社への通勤を想定し、決まった時間に施設へ通い続けてもらう。生活リズムが整い、症状の回復が期待できるほか、自分で症状をコントロールできる感覚を取り戻せるという。内容は、本の要約などデスクワークを中心とした個人プログラム▽グループで役割分担をする集団プログラム▽病気への理解を深める教育プログラム――などを組み合わせる。久しぶりの集団生活に慣れるため、簡単なスポーツをすることもある。
「再休職の予防が最終目標」
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