危機感増す「オール沖縄」 自民「県政奪還に追い風」 名護市長選
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米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設工事が進む沖縄県名護市の市長選(23日投開票)で、政府・与党が支援した現職が、玉城(たまき)デニー知事ら「オール沖縄」勢力が推した新人を大差で破り、再選を果たした。今後の移設計画を左右する秋の知事選に向け、政府・与党は攻勢を強め、「オール沖縄」勢力は戦略の立て直しを迫られている。
「予想以上に(票差が)広がりましたね」。名護市長選から一夜明けた24日朝、厳しい表情で県庁に姿を現した玉城知事。全面支援した元市議の岸本洋平氏(49)が、現職の渡具知武豊(とぐちたけとよ)氏(60)に5085票もの大差で敗れたことを問われると、そう答えた。
知事周辺は「『市長が代われば、子育て支援の無償化が終わる』という市民の懸念が子育て世代だけでなく、その親の世代にも広がった」と敗因を分析する。
23日は名護市長選に加え、沖縄本島南部の南城市長選でも「オール沖縄」勢力が支援した現職が、自民・公明の推した前職に敗北した。知事を支える県議の一人は「南城まで落とすとは」と落胆を隠せない。「オール沖縄」勢力は、昨秋の衆院選でも名護市を含む沖縄3区で敗れているほか、保守系の経済人も離脱し、退潮傾向に歯止めがかかっていない。
それでも知事周辺は「辺野古移設反対の民意は変わっていない。知事選では子育て支援策など知事の実績を訴えることができる」と強調する。ただ「オール沖縄」内では、よもやの2敗に危機感が増している。ある県議は「争点以前の問題だ。相手の主張をはね返すほどの活動の熱量が足りない。これまでは『オール沖縄』『辺野古』という風頼みの選挙だったが、地力がなければもう勝てない」と自戒する。
「移設阻止」の実現には、最大の政治決戦である秋の知事選での勝利が絶対条件だ。玉城氏は再選を目指して出馬する意向とみられ、後援会は週内にも会合を開く。知事周辺は「出馬表明は早いほうが良いが、2敗を受けた戦略の練り直しが必要だ。まずは擁立に向けた機運醸成をしなければならない」と語る。
一方、自民党沖縄県連は今後、県政奪還を目指し、知事選候補者の選考を本格化させる。西銘恒三郎沖縄・北方担当相(衆院沖縄4区)▽2018年の知事選で敗れた佐喜真淳・前宜野湾市長▽松本哲治・浦添市長――らを中心に選考が進む見込みだ。県連は3月の自民党大会までの候補者決定を目指している。
知事選…
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