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名護市長に自公系再選 移設強行の理由にならぬ

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 沖縄県名護市長選で、米軍普天間飛行場の辺野古への移設計画を進める政府と自民、公明両党が推した渡具知(とぐち)武豊氏が再選された。

 移設反対を訴える玉城デニー知事ら「オール沖縄」勢力が支援した新人は敗れた。

 松野博一官房長官は結果を踏まえ「辺野古移設の工事を着実に進めていく」と語った。

 だが、渡具知氏は初当選した前回市長選時と同様に、移設について「県と国の裁判を見守る立場」として賛否を明確にしていない。当選後も「市民に反対が多い」と実態を認めている。

 選挙結果をもって、地元が計画を容認したと断じることはできない。工事を強行することは許されない。

 移設計画が浮上してから7回目の市長選だった。最初3回は容認派、続く2回は反対派が勝った。

 渡具知氏は移設への賛否を明らかにしない一方で、保育料や子供の医療費などを無償化した実績を強調した。米軍再編交付金約15億円の一部が財源だ。国は、移設に反対していた市長の時代には交付していなかった。

 投票率は過去最低に落ち込んだ。告示前に新型コロナウイルスのまん延防止等重点措置が適用され、両陣営とも運動が制約された。

 一方で、政府が埋め立て土砂を投入して既成事実化を進めたことで、市民の間に無力感が広がり、投票率の低下につながったとの指摘もある。

 基地反対か、交付金による生活向上か。選挙を通じてこうした理不尽な選択を市民に強いたのは、ほかならぬ政府ではないか。

 秋には知事選が控える。岸田政権は沖縄振興予算の減額などで玉城知事を揺さぶり、移設容認派の知事を誕生させようとしている。

 だが、埋め立て予定海域で軟弱地盤が見つかり、状況は大きく変わった。改良のため工期は大幅に延び、普天間の返還は2030年代以降だ。政府が工事強行の根拠としてきた「一日も早い普天間の危険性除去」は見通せない。

 沖縄が本土に復帰してから、5月で50年という節目を迎える。政府は過重な基地負担を押しつけ、県民を分断してきた。岸田政権はその責任と向き合わなければならない。

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