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日本の財政事情は先進国で最悪の水準にある。しかし、「財政再建」は一向に進む気配がないまま、政府は新型コロナウイルス対策を名目に歳出の大盤振る舞いを続けている。誰もが「このままではまずい」と思いながら、結局は事態を放置する無責任体質はなぜ治らないのか。専門家とともに考えてみた。
延長繰り返す「失敗の歴史」
まずは財政再建の「失敗の歴史」を振り返ってみよう。
いまも政府の財政健全化目標となっている「基礎的財政収支」(プライマリーバランス=PB)の黒字化という考え方を持ち込んだのは、2001年に発足した小泉純一郎政権だ。
PBは、社会保障や公共投資といった政策的経費を借金に頼らずに賄えているかを示す指標。賄えれば黒字、賄えなければ赤字となる。財政再建を目指すのであれば、せめて政策経費ぐらいは税金で賄える水準にしないといけないというわけだ。
こうして政府の財政再建の旗印となったPB黒字化だが、これが一向に実現しない。現実には延々と黒字化目標時期の先送りだけが続けられている状況だ。
当初「10年代初頭」とされてきた黒字化時期は、リーマン・ショックに伴う金融危機に直面した麻生太郎政権下で「09年度から10年以内」に後退。旧民主党政権はこれを「20年度」としたが、短期間で政権を失うことになる。
12年12月に発足した安倍晋三政権は18年6月、目標を「25年度」に先送りした。この時の延期理由は、消費税率を10%に引き上げた際の増収分の使途を教育無償化に充てるため。「財政再建の原資を他に使うから、その分、黒字化時期が遅れることになる」という理屈だった。
岸田文雄首相は1月14日の経済財政諮問会議で、岸田政権でも25年度の黒字化目標を堅持すると明言した。根拠がないわけではな…
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