トンガ噴火は気候を変えるのか 「20世紀最大」の事例と比べると…
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大規模な火山噴火はしばしば、地球規模で一時的に気候を変える一因となってきた。1991年のフィリピン・ピナツボ山の噴火は北半球の平均気温を低下させたとされるが、1月15日に発生し、日本など世界各地に津波をもたらしたトンガの海底火山「フンガ・トンガ・フンガ・ハアパイ」の噴火も、世界の気候を変える可能性があるのだろうか。
噴火の噴出物のうち、気候への影響が懸念されるものの一つが二酸化硫黄(SO2)だ。大気中に放出されたSO2は徐々に化学変化を起こして「硫酸エアロゾル」と呼ばれる微粒子となる。成層圏(高度10~50キロ)に硫酸エアロゾルが到達すると、数年間は成層圏を漂って太陽光を部分的に反射し、地表面の温度を下げる効果がある。このため、SO2噴出量が多いほど、気温低下を招く可能性が高い。
20世紀最大の噴火と言われるピナツボ山の噴火では、SO2噴出量は約2000万トンに上ったとされる。噴火後は北半球の気温が低下。日本では93年に記録的な冷夏になり、6~8月の平均気温は平年値(当時)より2度以上低い地域もあった。梅雨前線が長期間日本列島に停滞したことなどによる日照不足も重なり、イネや野菜など多くの作物が生育不良となった。
特にコメ不足は深刻で日本政府はタイなどから緊急輸入。コメを求める人で店頭に行列ができるなど「平成の米騒動」と呼ばれる事態も起こった。
世界的な気温低下を招いた噴火はピナツボ山だけではない。インドネシアのクラカタウ山(1883年)やアグン山(…
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