連載

感染症と闘う

病原体が体に侵入し、人の生命すら脅かす感染症。人類の脅威となった新型コロナウイルスを特集します。

連載一覧

感染症と闘う

2022年・コロナ 議論の作法 平野啓一郎氏に聞く/下 威圧が知恵を枯渇させる

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
平野啓一郎氏=東京都千代田区で、内藤絵美撮影
平野啓一郎氏=東京都千代田区で、内藤絵美撮影

 新型コロナウイルスの影響で社会の格差はさらに拡大している。社会は今後、どうあるべきなのか。政府やメディアの姿勢を批判する平野啓一郎さん(46)に、その真意を語ってもらった。

「対案出せ」は怠慢

 --昨今は批判することへの風当たりが強く、野党に対する世論が厳しいです。

 僕は新しい小説を出す前には、いろんな人に原稿を読んでもらい、意見を言ってもらうようにしています。反論すると相手は萎縮してしまうので、ただ黙って聞いています。すると、集まった意見の中から問題点が浮かび上がります。もちろん、「他のアイデアを出せ」などとバカなことは言いません。それを考えるのは自分の仕事です。

 社会を良くしていこうとする過程で、最初に出てくるのは「批判」です。問題点の指摘だと言ってもいいです。そのうえで解決策を探るべきなのですが、そもそも与党が持っている情報量と野党のそれとは全然違います。少なくとも野党に「対案を出せ」と要求するのは与党の怠慢であり、甘えでしょう。企業が顧客からクレームを受けた時に「対案を出せ」と言うでしょうか。

 メディアの責任も大きいです。国会中継で、与党のトップがひどい発言をしても、報道では意味が通るように切り貼りして流すので、政府はまともに答弁しているように見え、野党は不合理に批判だけしているというイメージを国民に与えています。民主主義の社会にとって議会で批判することは当然なのに、新聞も…

この記事は有料記事です。

残り882文字(全文1482文字)

あわせて読みたい

マイページでフォローする

この記事の特集・連載
すべて見る

スポニチのアクセスランキング

現在
昨日
1カ月

ニュース特集