米高速炉に協力 破れた「もんじゅ」の夢託す日本 実用化に高い壁
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米国の企業による次世代の原発「高速炉」の開発計画に、文部科学省が所管する日本原子力研究開発機構や三菱重工業などが技術的に協力することになった。原子力機構など4者は26日、協力に向けた覚書を交わした。米国で2028年の運転開始を目指すが、日本やフランスでは開発が行き詰まっており、実用化は不透明だ。
高速炉の実用化を目指しているのは、マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏らが設立したベンチャー企業「テラパワー」(ワシントン州)。テラパワーは24年、米国西部のワイオミング州で高速炉(出力34万5000キロワット)の建設を始める計画を立てている。
既存の原発では核燃料に中性子という粒子を当て、核分裂を連鎖的に起こして熱を得る。高速炉ではさらに速く中性子を当てるので、より効率的な核分裂反応が起きる。既存の原発では原子炉を冷やすのに水を使うが、テラパワーの原子炉では中性子を減速させにくい液体のナトリウムを使用。稼働中に発生した熱を蓄える装置も付け、電気の出力を細かく調整することができるようにする。
一方、日本にはトラブル続きで現在は廃炉作業中の「もんじゅ」(福井県)や、07年5月から止まったままの実験段階の炉「常陽」(茨城県)というナトリウムを使った高速炉があり、原子力機構にはこれらの運転実績がある。三菱重工は、常陽ともんじゅの開発や建設などに携わった。さらに茨城県には、ナトリウムを使う機器を試験する原子力機構の施設もある。
テラパワーは、トラブルに関するものも含めて原子力機構がこれまでに蓄積した開発データや試験施設に着目。21年4月ごろ…
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