演劇 モダンスイマーズ「だからビリーは東京で」 若者の夢と時代の現実=評・濱田元子

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松尾祥磨撮影
松尾祥磨撮影

 夢を見にくい時代になった。しかも閉塞(へいそく)感はコロナ禍でより強まるばかり。そんな中で役者を志す若者を軸に、社会や演劇界の現実を映し出す。作・演出の蓬莱竜太が優しく繊細な手触りで、しかし心の深いところをかきむしる。

 物語は大学生の凛太郎(名村辰)が、とある小劇団の劇団員オーディションを受けに来たところから始まる。作・演出家の能見(津村知与支)ら劇団員とのやりとりは、小劇場あるあるといったところ。くすぐりながら、物語の世界観へいざなっていく蓬莱の作劇がさえる。

 演劇未経験の凛太郎の心を動かしたのは、ミュージカル「ビリー・エリオット」。英国の炭鉱町に育った少年が、父親に反対されながらバレエダンサーを目指してロンドンに旅立つ話だ。凛太郎は自身をビリーにダブらせるが、アルコールの問題を抱える父親(西條義将)との確執はビリーよりも深刻だ。

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