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少子化考

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「国家が家族守る」 GDPの5%投じる、ハンガリーの“政策介入”

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フランスの極右政党「国民連合」ルペン党首との共同記者会見で話すハンガリーのオルバン首相=ブダペストで2021年10月26日、AP
フランスの極右政党「国民連合」ルペン党首との共同記者会見で話すハンガリーのオルバン首相=ブダペストで2021年10月26日、AP

 「人口減少の唯一の解決法は、国家が家族を守ること、家族形成に対する障害を取り除くことだ」

 中欧ハンガリーの首都ブダペストで昨年9月に開かれた「ブダペスト人口問題サミット」。周辺のチェコやセルビアなどから首脳が参加する中、ホスト国ハンガリーのオルバン首相は、そう力説した。

 「移民が人口減を止めるという人がいるが、そう主張する人たちは文化の(違いの)問題を考慮していない」「ハンガリーは西側の左派の攻撃から自衛する。彼らは家族という概念を相対化しようとすることで伝統的家族を攻撃する。その際のツールがLGBTQやジェンダーの団体だ」。オルバン氏は移民や性的少数者に批判の矛先を向けた。

 「欧州難民危機」(2015年)では難民の入国を拒絶、メディアや性的少数者などに対して圧力を強め、欧米で物議を醸すオルバン氏。近年は人口問題でも存在感を強めている。10年の総選挙で政権に返り咲くと、家族支援を政権の最優先課題に据え、子育て世代を支援するさまざまな施策を打ち出してきた。

 19年に始まった新施策「出産ローン」は、その典型例だ。出産を控えた夫婦らは、最大1000万フォリント(約360万円)を金融機関から無利子で借りられる。5年以内に子供が生まれると返済の分割払いが3年間猶予される。2番目の子供が誕生するとさらに3年間猶予され、返済額の3割分が免除される。3人目が生まれれば全額返済不要となる。ハンガリー人口調査研究所のジョルト・シュペダー所長は「とても強い政策介入で、これで出生数は1割増加した」と分析する。世界銀行の統計によると、11年に1・23だった合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供の数)は18年に1・55まで上昇した。

 ブダペスト市内に住むドモンコシュ・シラージさん(32)一家を訪ねた。ドモンコシュさんとメリンダさん(33)の夫婦は「ローン」を申請し、その後、長男のアルミンちゃんが生まれた。2人はローンをマンション購入資金に充て、3年間、分割返済が猶予さ…

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