国の原発防災組織 思惑通りにいかなかった「二足のわらじ」
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自治体が原発事故に備えて立てる避難計画の実効性について、原子力規制委員会など国には審査する仕組みがない。東京電力福島第1原発事故では、着の身着のまま逃げて命を落とした人が多かったため、対策は強化された。ただ茨城県などの避難計画は、司法の場でいくつもの不備を指摘されている。原発事故から11年。審査の仕組みがないいきさつを探ると、規制委の設立の経緯に行き着いた。【岡田英、荒木涼子、奥山智己】
「自公案をベースに議論し、修正をする」。2012年の6月5日、東京・永田町の衆院第1議員会館2階の環境委員長室での会合で、当時与党だった民主党の近藤昭一衆院議員は、そう切り出した。原子力の新しい規制組織について、民主と、野党だった自民、公明両党の実務者が双方の案の修正協議をするため、膝を突き合わせていた。近藤氏は座長役だった。
規制委発足でこだわったのは…
民主党案では、環境省のもとに新たな規制組織を設けることになっていた。原発防災も担当し、原発周辺の住民を避難させるための指針を作ったり、避難計画を立てる自治体と連携したりする調整業務を想定していた。
これに対し、自公案は公正取引委員会などのように国家行政組織法第3条に基づき、省庁からの独立性が高い「3条委員会」として、原子力規制委員会を新設し、原発防災の業務も担わせるものだった。自公側が、政治家が関与しにくい3条委にこだわったのは、福島第1原発事故の際、菅直人首相(当時)の介入により現場が混乱し、弊害を招いたと考え…
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