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どんな名選手も、かつてはみな、高校球児。そんな彼らの「現在」を追いました。

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スリーボンド・元氏玲仁 甲子園優勝投手が軟式で迎える8度目の球春

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第86回選抜高校野球大会決勝で履正社打線を相手に5回3分の1を1失点と好投した龍谷大平安の元氏玲仁=阪神甲子園球場で2014年4月2日、山田尚弘撮影
第86回選抜高校野球大会決勝で履正社打線を相手に5回3分の1を1失点と好投した龍谷大平安の元氏玲仁=阪神甲子園球場で2014年4月2日、山田尚弘撮影

 社会人で軟式野球に取り組む甲子園優勝投手がいると聞き、会いに行った。1時間以上、じっくりと話を聞いて感じたのは、彼の芯の強さだった。強烈な印象を残した一言がある。「自分のことは自分にしか分からない。最終的に状況を変えられるのも、結局、その時の自分しかいない」。甲子園優勝投手のプライドは、違った形で生き続けていた。

たった1球で狂った野球人生

 2014年のセンバツ。龍谷大平安(京都)の投手として、当時2年生ながら歓喜の輪の中心にいた左腕は元氏玲仁(もとうじ・れいじ、24歳)。この時、その後の野球人生で長くもがき苦しむことになるとは、誰一人として予想しなかっただろう。

 チームは高橋奎二(現プロ野球・ヤクルト)との二枚看板で、頂点まで上り詰めた。抜群の制球力を備え、140キロ台の直球とスプリットを武器に、同世代の強打者を次々に打ち取った。履正社(大阪)との決勝では、高橋の救援として5回3分の1を投げ被安打3、自責点0。元氏は「ただただ、ホッとした。やっと終わったんだなって」と振り返るが、全国トップクラスの好投手として、将来を有望視されるようになっていた。

 ところが、たった一つのミスが歯車を狂わせた。チームが日本一に輝いた直後の春季近畿大会、報徳学園(兵庫)との準決勝のことだ。平凡な投ゴロ…

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