酒井法子さん 消えない過去、スルーしない 迷い語った今の幸せ

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コロナ下での活動などを振り返った酒井法子さん=東京都港区で2021年12月12日、佐々木順一撮影
コロナ下での活動などを振り返った酒井法子さん=東京都港区で2021年12月12日、佐々木順一撮影

 待ち合わせた東京都内のカフェで、酒井法子さんはおもむろに口を開いた。「すごく悩んで今日、ここに来ました。幸せについて何がしゃべれるのか分からなかったし、そもそも私がしゃべっていいのかな、とずっと自問自答していたんです」。酒井さん、表情に複雑な心境をのぞかせた。

 1980年代後半から90年代に青春時代を送った人にとって、とりわけ鮮烈な印象があるだろう。歌を歌えばヒット曲を飛ばし、俳優として数々のドラマに出演した清純派アイドル。「マンモスうれピー」(最高にうれしい)、「かなピー」(悲しい)といった独特の「のりピー語」は若者の間で大流行し、明るいキャラクターでも人気を集めた。ひと言で言えば売れっ子、いや超売れっ子だった。

 そんな酒井さんも50歳。現在はフリーの立場で芸能活動をしている。2021年春、約8年間在籍した芸能事務所から独立し、個人事務所「株式会社スマイル」を設立。ちょうど新型コロナウイルス禍で緊急事態宣言が繰り返され、世の中に閉塞(へいそく)感が漂っている頃だった。

 「ふと我に返った時、あと何年、この芸能界でお仕事できるのかしらって思ったんですね。もちろん(前の)事務所の人たちには二人三脚で一緒にやってきてもらって、まだまだこれからっていうところではあったと思うんです。でも自分自身のチャレンジというか、自分の足で歩いてみたいなと思って。芸能人生の最終章のつもりで新たな一歩を踏み出しました」

 独立から半年後、酒井さんは代表曲「碧(あお)いうさぎ」をリニューアルし、「2021バージョン」として発表した。オリジナルでは手話を交えて歌う姿が話題となり、発表した95年にはNHK紅白歌合戦にも出場している。「曲の底辺に流れているパワーが自分と共鳴し、いつも力をくれる」という、酒井さんにとって思い入れの強い歌だ。

 今回のリニューアルは、本人役で出演したネット配信ドラマの演出として行われた。かつて一世を風靡(ふうび)しながら今はさえないアイドル歌手の「酒井法子」が、過去のヒット曲を現代風に仕立て直して復活を期す。あくまでフィクションだが、自身の現状も重ねながら演じたという。劇中で披露された「2021バージョン」は、フラメンコ調にアレンジした楽曲に情熱的な振り付けを加えた。「今の自分の内面を表現してみました」

 過去は消えないし、昔にも戻れない。変えられるのは…

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