「子の利益」最優先 120年以上前の嫡出推定 加わる二つの修正
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親子を巡る民法の規定の見直しが1日、法制審議会の部会で了承された。家族像が目まぐるしく変化する中、子の無戸籍や児童虐待が大きな社会問題となっている。部会は「子の利益」を念頭に、明治期に制定された民法を時代の変化に合わせた。【山本将克】
「嫡出推定の意義」変わらず
今回の諮問の最大のテーマは、父と子の関係を定める民法の「嫡出推定」の見直しだった。
嫡出推定は、結婚に基礎を置いた制度だ。「結婚した女性から生まれてくる子は、夫の子であろう」と推定し、「嫡出否認」の手続きが取られない限りは父子関係が確定する。否認の訴えを起こせるのは夫のみで、期間も出生を知ってからわずか1年と厳格に制限されている。1898年施行の明治民法で採用された。
母子と異なり、父子関係を証明するのは難しい。その中で、早期に子の立場を定め、安定的な養育環境を整える狙いがあった。このため、血のつながりがない父子関係が生じることも前提に制度設計されていた。
しかし、施行から1世紀を超え、親子を取り巻く状況は様変わりした。今では夫婦の3組に1組が離婚している。夫の暴力などを理由に、離婚より先に別居が始まることも珍しくない。離婚協議が長引く間に別の男性との子を妊娠し、離婚後300日以内に出産すると、子は「前夫の子」と推定される。このため、出生届を出せずに子が無戸籍となる事態が問題化した。
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